1999年 スイス ドイツの旅 4


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  9月16日 (木)
   ベートーベンハウスに行くつもりが、大回りしてライン川に出てしまった。川べりを歩いた。昨日、水中翼船で、マインツ
  からボンまで来たが、あまりに速くて(3時間)、おまけに小さな窓でライン川の景観を楽しむとはいかなかった。妻は
  観光船の方がよかったとぼやいたが、それだと9時間もかかる。
  旧西ドイツの首都ボンはライン河畔にある小さな都市。今回の展示は「歓喜」。シラーの詩だが、ベートーベンの「第九」
  でお馴染みだ。ボンがどんな街か、妻は知りたがっていた。ベートーベンはよく引っ越してあちこちに記念館があるが、
  生家は興味があった。入ると植え込みに胸像が2体置かれ,2階が資料室となっている。単なる展示で勿論生活感はない。
  一通り見て階下に下りると、館の人が白ワインをサービスしてくれた。妻がお礼に展示のカードを差し出し、話をすると、
  ひどく喜んで、次回は是非この街でと言ってくれた。気をよくしてマルクト広場に戻った。
   市庁舎は薄いピンクとグレーの建物で、中程から左右に上がる階段がついている。建物の前の手すりも階段の手すりも
  黒い鋳物に金の模様が入っている。なかなかシックだ。ミュンスター広場にもベートーベンの像が立っていた。朝市が開かれ、
  果物が豊富だ。大きなかぼちゃ!一旦ホテルに戻り、荷物を持って駅へ。駅前でソーセージを売っていた。ボンの町で
  フランクフルト ソーセージをぱくついた。


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   11時29分の列車でハイデルベルクへ。車輛も少なく近郊列車という感じ。6人掛けの個室で木製の大きなテーブルがある。
  足を伸ばしてくつろぎ、車窓左のラインの流れに見入る。次第に景色に引き込まれ、窓ガラスを押し上げて、二人共立ちっぱなし。
  ちょっと速すぎるが水中翼船よりましだ。ローレライの崖もハイネならずとも、良い詩ができそうな格好の崖だ。当時は今よりも
  川幅も狭く、急流の難所だったのだろう。2時、ハイデルベルク着。駅前のインフォメで宿を探す。すぐ前のインターシティ
  ホテル アーケード。
   バスでビスマルク広場まで。そこから中央通りをマルクト広場まで歩いた。大勢の観光客だ。マルクト広場の奥のシュロス駅より
  登山鉄道でケーニッヒシュトウール山へ。山頂からライン平野が一望できる。ハイデルベルクの街もネッカー川も足元にある。
  帰りは途中駅で下り、小径を行くと、ハイデルベルク城に出た。前面の城壁と塔だけが残っている。小高い丘に位置する城からは
  街全体が見渡せる。城の石段をゆっくり下りる途中に、1552年築城という銅板があった。ネッカー川に架かるカールテオドール橋
  を渡って対岸から街を眺めた。20年前の景観とほとんど同じような気がする。幾つも弧を描いた橋脚が美しい。川と橋と街と城。
  夕日が全体を照らし、一幅の絵である。川辺の草むらのベンチに腰掛けたまま見とれていた。小さな街にあれだけの人並はどこに
  消えたのだろう。暗くなりかけた通りを急ぎ、駅へのバスに乗った。

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